逃げるは恥

ちょっとした縁のある会社の社長さんが音信不通になりました。

なんとなく事業が上手くいってないことは感じていたのですが、まさか連絡が取れなくなるとは思いもよりませんでしたよ。

従業員の皆さんも一生懸命頑張って業務を続けていたようなのですが、最後には給料も支払われなくなり、どうしようもなくなってしまったそうです。

部屋はそのままの状態で放置されています。

社長が責任を放棄すると従業員も含め、関係者全てが不幸になってしまうという、悪い意味での手本ですね。

ドラッカーの著書に、マネジメントにおける最も重要なことは誠実さである、と書かれていたことを思い出しましたよ。

ドラッカーが組織マネジメントを成功させている人を調査したところ、やり方は人それぞれで特に共通性を見出せなかったようですが、唯一、全ての人が誠実さを大切にしていた、という感じの内容だったと思います。

この観点から言うと、前段の社長さん、全く誠実ではないですよね。

取引先や金融機関、顧客へもそうですし、最も大事にしなければならない従業員への誠実さが感じられないです。

残念ながら、再起を図るのも難しいのでしょう。良い人でしたけれどね。

私も、これを他山の石としなければなりません。

我が社はお陰様で順調に推移していますが、いつなんどき市場環境が悪化し、赤字になってしまうか分かりません。もしかしたら、経営判断を過ち、大きな損失が出ることもあるかも知れません。

残念ながら、それはどんな優秀な経営者でも起こりえる事なんです。ただ、その後の対応が万全なのが優秀な経営者ですよね。

災転じて福となす的なことをやってのけるんです。

稲盛和夫さんや松下幸之助さんの本を読むと、そういった場面が出てきます。

もちろん、人生で積んできた徳の量が全然違うので、私にそんな神がかったことはできないのですが、マイナスを少しでも軽減できるような対応だけは心掛けたいものです。

誠実に。

こういった局面では逃げずに、ということになると思います。

一昔前に「逃げるは恥だが役にたつ」なんてドラマが一世を風靡しました。

確かに、逃げるは恥だか役にたつ的な局面はあると思います。

織田信長も金ヶ崎の退き口で単騎逃げました。

ただ、あの場面は絶体絶命であり、そこから自分が逃げ延びさえすれば捲土重来ができる確信があったからこそ成り立つのです。

のるかそるかの局面で逃げちゃダメですね。

戦国時代の合戦で、総大将が床几から立ち上がっただけで逃げたと思われ、総崩れになってしまった話もあります。

弱気は些細なところに出てしまい、綻びをうみます。

私自身、経営からは絶対に逃げない。

そんな気持ちをさらに強くした、今回の出来事でした。

秩父で山に登るIT経営者より

  

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