四半世紀ぶりの雀鬼
最近、勝つことと負けないことは違う、っていうことを学びました。
ネットに掲載された桜井章一さんの記事を読んだのです。
この桜井章一さんは知る人ぞ知る、雀鬼と呼ばれる男で、麻雀の代打ちで20年間無敗を誇る伝説の人です。
やくざや政治家などが高額な手打ちの条件を賭けて行う熾烈な麻雀で、場合によっては○されてもおかしくない状況の中、20年にもわたり無敗であったことは本当に凄まじいことです。並みの精神力ではないですね。
この雀鬼さん、雀鬼会という、なんだか虎の穴のような組織をつくって、独自のルールで麻雀をやっているとのこと。第一打で風牌を切ると罰符なのだと。なんでも、「流れ」が壊れるのだそうで。私にはよくわからない世界で生きていらっしゃいます。
この雀鬼会では夜な夜な猛者たちが集まり、熱き闘いを繰り広げているそうな。
きっと、「我こそは!」と鬼退治に出かけて、返り討ちにあった桃太郎諸氏も多いことでしょう。かの有名な経営者、サイバーエージェントの藤田晋さんも所属されていたということですので、きわめて合法、健全な組織なのですが、なんだかとても恐ろしい集団ですよね。
私が大学生になり麻雀を始めたばかりのころは、この人の伝説的な話を聞きかじって憧れましたね。自分も麻雀で上達して勝ちまくってやろうと意気込んでいたことを思い出します。
あの頃は、勝つことばかりを求めていました。強気に勝ちに行くことを追い求めた結果、トータルでは勝てない。早朝の雀荘で徒労感に襲われている記憶がよみがえってきます。
大人になり、久しぶりに桜井さんの記事を読んでみると、見える景色が違うものですね。よくよく読んでみると、桜井さんは「負けないこと」の重要性を説いていたようです。
勝ち続けることはできないけど、負けないようにすることはできる。勝つことではなく、負けないことを目指せ。そんなことを伝えたいのだと受け止めました。
若いころの私は、人生の勝者になることに憧れ、様々な面で勝ち続けることを模索してきました。でも、失敗ばかり。トータルでは全然進んでいかないことにいら立ちを覚えていました。ところが、ある大失敗をきっかけに、周りの人と協調して進めていくこと、そして大きな失敗をしないようにすることを目指すようになりました。その結果、目の前の景色が変わっていったことを思い出します。
かの高名な軍師、諸葛亮孔明も北伐を敢行するとき、絶対不敗の地に身を置き、決して大敗しないように心がけていたということです。
一度の大敗でも、今まで積み上げてきたものをすべて失ってしまうことがあるということ。
わが社の経営でも、決して大敗しない領域で勝負すること。これを引き続き守っていきたい。
そんなことに改めて気づかされました。
四半世紀ぶりに、雀鬼に感謝、です。
秩父で山に登るIT経営者より